「ダウン症」という言葉を聞いたことはあっても、
「実際にはどんな症状があるの?」
「なぜダウン症になるの?」
「知的障害とは関係があるの?」
と聞かれると、意外と詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
今回は、ダウン症について、できるだけ分かりやすく紹介します。
ダウン症って何?
ダウン症は、染色体の違いによって生じる先天的な状態です。
人の身体には、遺伝情報を持つ「染色体」があります。
通常、21番目の染色体は2本ですが、ダウン症では21番染色体が3本になることが多く、これを「21トリソミー」と呼びます。
そのため、ダウン症は「病気」というよりも、生まれつきの染色体の特徴として捉えるほうが分かりやすいでしょう。
ダウン症にはどんな特徴がある?
ダウン症のある人には、共通して見られやすい身体的特徴があります。
例えば、
・筋肉の緊張が弱い
・身体の発達がゆっくり
・身長が比較的小さい
・特徴的な顔立ちがある
などです。
ただし、ここで大切なのは、「ダウン症の人はみんな同じ」ではないということです。
顔立ちや身体の特徴にも個人差があります。
性格や得意・不得意も当然、一人ひとり違います。
知的障害を伴うこともある
ダウン症について考えるとき、知的障害との関係も重要です。
ダウン症のある人には、知的発達に遅れが見られることがあります。
ただし、その程度には大きな個人差があります。
「ダウン症=同じ程度の知的障害がある」というわけではありません。
また、発達のスピードがゆっくりだからといって、「何も分からない」ということでもありません。時間をかけたり、その人に合った方法で伝えたりすることで、できることはたくさんあります。
「ゆっくり」と「できない」は違う
ダウン症のある人を支援するうえで、ぜひ覚えておきたい考え方があります。
それが、「発達がゆっくり」と「できない」は違うということです。
例えば、新しい作業を覚えるのに時間がかかる人がいたとします。
周囲が、「この人には無理だろう」と最初から決めてしまえば、本人が挑戦する機会そのものがなくなってしまいます。
しかし、
「少し時間をかけてみよう」
「実際にやっているところを見てもらおう」
「手順を一つずつ伝えてみよう」
と考えることで、本人の力が発揮されることがあります。
支援者が「できない」と決める前に、「どうすればできる?」と考えることが大切です。
コミュニケーションにも個人差がある
ダウン症のある人は、話し言葉の発達に時間がかかる場合があります。
頭の中では理解していても、それを言葉として表現することが難しいケースもあります。
そのため、「話せない=理解していない」とは限りません。
本人が話しやすい方法を探すことが重要です。
例えば、
・短く分かりやすく伝える
・写真や絵を使う
・ジェスチャーを取り入れる
・本人が答えるまで待つ
・選択肢を提示する
など、その人に合わせた工夫ができます。
「明るい性格」は本当?
ダウン症について、「明るい人が多い」「人懐っこい」というイメージを持っている人もいるかもしれません。確かに、そうした特徴を感じる場面もあります。
しかし、「ダウン症の人はみんな明るくて優しい」と決めつけるのは少し違います。
人にはそれぞれ性格があります。
静かな人もいれば、よく話す人もいる。
人と関わることが好きな人もいれば、一人で過ごすことが好きな人もいる。
怒ることもあれば、落ち込むこともあります。
つまり、ダウン症であることと、その人の性格は別のものです。
「ダウン症だからこういう人」と決めつけないことが大切です。
健康面での支援も大切
ダウン症のある人は、心臓や甲状腺、耳、目などについて、合併症や健康上の課題が見られることがあります。そのため、日頃からの健康管理や定期的な受診が重要になります。
また、本人が身体の不調をうまく言葉で伝えれない場合もあります。
支援者として、
「いつもと様子が違う」
「食事の様子が違う」
「元気がない」
「眠そうな時間が増えた」
など、小さな変化に気づくことも大切です。
ただし、何でも「ダウン症だから」と考えてしまうのも危険です。
体調の変化があれば、必要に応じて医療機関に相談することが大切です。
支援で一番大切なこと
ダウン症のある人は支援するとき、「手伝ってあげる」という気持ちだけではなく、「本人ができることを奪わない」という視点も大切です。
危ないから全部やってあげる。
時間がかかるから代わりにやってあげる。
失敗すると困るから最初からやらせない。
これらは一見すると優しい支援に見えます。
でも、場合によっては本人の「やってみたい」「自分でやりたい」という気持ちや、成長する機会を奪ってしまうことがあります。
もちろん、安全を守ることは大前提です。
そのうえで、「どこまでなら自分でできる?」「どこだけ手伝えばいい?」と考えることが重要です。
「ダウン症の人」ではなく「〇〇さん」
福祉の現場では、障害名からその人を見るのではなく、「その人自身を見る」ことが大切です。
「ダウン症だから〇〇」ではなく、
「〇〇さんは、これが得意」
「〇〇さんは、これが苦手」
「〇〇さんは、こう伝えると分かりやすい」
という見方です。
ダウン症というのは、その人を構成するたくさんの要素の中の一つです。
好きな食べ物もある。
好きな音楽もある。
苦手なこともある。
こだわりもある。
夢や希望もある。
もちろん、怒ったり、悩んだり、失敗したりもする。
それは私たちと同じです。
最後に
ダウン症について知ることは、「ダウン症の人を理解する」ためだけではありません。
「人を一括りにしない」ということを学ぶことでもあるのではないでしょうか。
障害には特徴があります。
だからこそ、その特徴を知ることは支援のために必要です。
でも、特徴だけを見てしまうと、その人自身が見えなくなってしまいます。
「ダウン症だからこうする」のではなく、「この人には、どんな支援が必要なんだろう?」と考える。そして、「できないこと」ではなく「できること」にも目を向ける。
それが、その人らしい生活を支えるための大切な一歩なのだと思います。

