子どもに、どう伝えていますか?

子どもに、どう伝えていますか?

街を歩いていると、さまざまな人と出会います。

車いすを使っている人。
大きな声を出している人。
同じ動きを繰り返している人。
言葉でのコミュニケーションが難しい人。
見た目からは障害があることが分からない人。

そんな人を見た子どもが、

「なんであの人、大きな声を出してるの?」
「あの人、どうしたの?」
「なんで歩けないの?」

と聞いてきたら、皆さんならどう答えるでしょうか。

「見ちゃダメ」だけで終わらせない
子どもが障害のある人を見て疑問を持つこと自体は、決して悪いことではありません。
知らないことを「どうして?」と思うのは、とても自然なことです。

そんなとき、

「見ちゃダメ」
「そんなこと言ったらダメ」
「静かにしなさい」

だけで終わらせてしまうと、子どもの中には、

「障害のある人については触れてはいけない」
という感覚だけが残ってしまうかもしれません。

もちろん、相手を指さしたり、じろじろ見たり、聞こえるところで話題にしたりすることへの配慮は必要です。

でも、疑問そのものを否定する必要はないと思います。

「いろんな人がいるんだよ」
「歩くことが難しいから車いすを使っている人もいるよ」
「言葉で気持ちを伝えることが難しい人もいるんだよ」

子どもの年齢に合わせて、そんなふうに伝えていくことが大切ではないでしょうか。

「かわいそうな人」と教えない
障害について伝えるとき、気をつけたいことがあります。
それは、「障害のある人=かわいそうな人」という伝え方です。

確かに、生活の中で困ることや支援が必要なことはあります。
しかし、障害のある人にも、好きなことがあります。
得意なことがあります。
友達がいて、仕事をして、趣味を楽しみ、笑ったり怒ったりします。

私たちと同じように、それぞれの生活があります。
ですから、「かわいそうだから優しくしてあげなさい」ではなく、「自分とは違うところがある。でも、それはみんな同じだよ」と伝えていくことのほうが大切だと思います。

「違うこと=怖いこと」にしないために
人は、知らないものに対して不安を感じることがあります。
子どもなら、なおさらです。

突然大きな声を出す人を見て、びっくりすることもあるでしょう。

そんなときに、「あの人は怖い人だから近づいたらダメ」と伝えてしまうと、「障害のある人=怖い人」というイメージにつながってしまう可能性があります。

もちろん、障害の有無にかかわらず危険な状況では距離を取ることも必要です。
でも、行動だけを見てその人自身を「怖い人」と決めつけないことも大切です。

「びっくりしたね。でも、大きな声が出てしまう人もいるんだよ」
それだけでも、子どもの受け止め方は変わるかもしれません。

子どもは、大人の反応を見ています
実は、子どもに何を「教えるか」以上に大切なことがあります。
それは、大人自身がどのような態度を取っているかです。

障害のある人とすれ違ったときに避ける。
じろじろ見る。
小さな声で「あの人ちょっと変だね」と話す。
反対に、必要以上に特別扱いする。

子どもは、そんな大人の姿をよく見ています。

「障害のある人をどう考えればいいの?」
その答えは、言葉だけではなく、普段の大人の行動からも伝わっていくのだと思います。

家庭だからこそできること
障害について、難しい授業をする必要はありません。

テレビを見ているとき。
街を歩いているとき。
学校で障害のある子と出会ったとき。

日常の何気ない場面で、「いろんな人がいるよね」と話してみる。
そして、「困っている人がいたら、勝手に何かするんじゃなくて、まず『大丈夫ですか?』って聞いてみようね」と伝える。

そんな小さな会話の積み重ねで十分なのではないでしょうか。

仲良くすることを強制する必要もない
ここも、とても大切なところです。

「障害のある子とは絶対に仲良くしなさい」
と強制することが、障害理解ではありません。

誰と友達になるのかは、その子自身が決めることです。
障害のある人だから特別に仲良くするのでもなく、障害があるから避けるのでもない。

一人の人として接する。
それが自然な関係ではないでしょうか。

「普通」という言葉を少しだけ考えてみる
私たちは何気なく、

「普通はできる」
「普通はそんなことをしない」

と言います。

でも、その「普通」は誰にとっての普通なのでしょうか。

話すことが得意な人もいれば、苦手な人もいる。
計算が得意な人もいれば、人との関わりが得意な人もいる。
走る人もいれば、歩くことが難しい人もいる。

人間は、もともと同じではありません。

障害について伝えるということは、単に「障害者に優しくしましょう」と教えることではなく、「人にはいろんな違いがある」ということを伝えることなのかもしれません。

最後に
子どもたちがこれから生きていく社会には、本当にさまざまな人がいます。

障害のある人も、ない人もいます。

その中で大切なのは、「違う人を特別扱いすること」でも、「違いを見ないふりをすること」でもありません。

違いがあることを知り、分からなければ知ろうとし、困っている人がいれば必要な時に手を差し伸べる。

そして何より、「障害があるかどうかより、その人自身を見る」
ということ。

子どもたちにその大切さを伝えるためには、まず私たち大人が、その姿を見せていくことが一番なのかもしれません。

子どもは、大人が言ったことだけでなく、大人が人にどう接しているかを見ながら育っていくのですから。