「困っている人がいたら助けよう。」
私たちは子どもの頃から、そう教えられて育ってきました。
誰かを思いやる気持ちは、とても素敵なことです。
障害のある方に対しても、「力になりたい」「少しでも役に立ちたい」と考える人はたくさんいます。
しかし、その優しさが、時には相手を困らせてしまうことがあるのをご存じでしょうか。
もちろん、助けること自体が悪いわけではありません。
大切なのは、「自分が助けたい」ではなく、「相手が本当に助けを必要としているか」という視点です。
良かれと思った行動が、負担になることも
例えば、重そうな荷物を持っている障害のある方を見かけたとします。
「持ちますよ!」
その一言は親切です。
ですが、その人は自分で持てる範囲の荷物を運んでいるだけかもしれません。
何も聞かずに荷物を持ってしまうと、「自分ではできないと思われた」と感じる方もいます。
また、車いすを利用している方の後ろから、突然車いすを押してしまうケースもあります。
押した人は手伝っているつもりでも、利用している本人にとっては急に身体を動かされたような感覚になり、とても驚くことがあります。
だからこそ、一番大切なのは「お手伝いしましょうか?」という一言です。
相手が必要としていれば喜んで受け入れてくれますし、必要なければ「大丈夫です」と答えてくれます。
それだけで、お互いが気持ちよく過ごすことができます。
「かわいそう」という見方は、本当の優しさ?
障害のある方を見ると、
「かわいそう。」
「大変そう。」
「毎日つらいんだろうな。」
そんなイメージを持つ人もいます。
でも、障害があるからといって、不幸とは限りません。
好きな趣味を楽しみ、仕事を頑張り、友人と笑い合い、旅行へ行く人もいます。
もちろん、困る場面や苦労することはあります。
しかし、それは障害のある人だけでなく、誰にでもあることです。
「かわいそう」というフィルターで見てしまうと、その人の魅力や個性が見えなくなってしまいます。
大切なのは、「障害者」としてではなく、「一人の人」として向き合うことです。
子ども扱いしない
障害があるというだけで、
「すごいね!」
「えらいね!」
と、小さな子どもに話しかけるような口調になってしまうことがあります。
もちろん、相手を褒めたいという気持ちは悪いことではありません。
しかし、大人の方に対して過度に子ども扱いをすると、自尊心を傷つけてしまうことがあります。
障害の有無ではなく、その人の年齢や立場に合わせた接し方をすることが大切です。
本人ではなく、付き添いの人に話しかけてしまう
病院や飲食店、お店などでよく見かける場面があります。
本人が目の前にいるのに、
「この方は何を食べますか?」
「今日はどうされましたか?」
と付き添いの人へ話しかけてしまうことがあります。
もちろん、本人が答えることが難しい場合もあります。
ですが、まずは本人に話しかけることが大切です。
本人が答えられるなら、そのまま会話を続ければいい。
難しそうなら、その時に周囲がサポートすれば十分なのです。
「頑張って」が重荷になることもある
励ますつもりで、
「頑張って!」
と声をかけることがあります。
でも、その人は毎日頑張って生活しているかもしれません。
そんな時には、
「応援しています。」
「無理しすぎないでくださいね。」
「何かあれば声をかけてください。」
そんな言葉の方が、安心できる人もいます。
言葉は同じでも、受け取る側の気持ちは人それぞれです。
本当に必要なのは「決めつけないこと」
障害があるから、
「これはできないだろう。」
「助けなければ。」
そう決めつける前に、一度立ち止まってみてください。
困っていなければ、見守ることも立派な支援です。
必要そうなら、「何かお手伝いしましょうか?」と声をかける。
断られたら、「分かりました」と笑顔で引く。
その自然な距離感が、お互いにとって心地よい関係につながります。
最後に
優しさとは、「自分がしてあげたいこと」をすることではありません。
相手が「助かった」「安心した」と感じられることこそ、本当の優しさです。
障害のある方も、私たちと同じように、一人ひとり違う性格や考え方、得意なこと、苦手なことがあります。
だからこそ、「障害がある人」とひとくくりにするのではなく、「一人の人」として向き合うことが大切です。
ほんの少しだけ相手の立場を想像し、「どうすれば安心してもらえるだろ」と考える。
その小さな心がけが、誰もが暮らしやすい社会への第一歩になるのではないでしょうか。

