障害福祉の現場では、利用者さんから何度も同じ質問をされることがあります。
「今日は何時に帰るの?」
「お昼ご飯はまだ?」
「明日は来るの?」
「もう作業終わる?」
一度答えたはずなのに、数分後にはまた同じ質問をされる…。そんな経験をした職員さんも多いのではないでしょうか。
忙しい時や疲れている時には、「さっきも言ったよね」と言いたくなってしまうこともあるかもしれません。しかし、その対応が利用者さんを不安にさせてしまうこともあります。
なぜ同じ質問を繰り返すの?
「わざと聞いている」のではなく、その人なりの理由があることがほとんどです。
例えば、
・短期記憶が苦手で、答えを忘れてしまう。
・予定が変わることへの不安が強い。
・安心するために確認したい。
・コミュニケーションのきっかけとして話しかけている。
・気持ちが落ち着かず、同じことを繰り返してしまう。
つまり、「質問」ではなく、「安心したい」という気持ちが隠れていることも少なくありません。
「さっき言ったでしょ」は逆効果になることも
もちろん、毎回同じ質問に答えるのは簡単ではありません。
しかし、「何回も言わせないで」「ちゃんと聞いて」と強く言われると、利用者さんは「また怒られた」「聞いてはいけないんだ」と感じてしまうことがあります。
その結果、不安がさらに大きくなり、かえって同じ質問が増えてしまう場合もあります。
こんな対応を心掛けてみよう
①落ち着いて、できるだけ同じ答えを返す
毎回違う説明をすると、かえって混乱することがあります。
例えば、
「今日は15時に帰りますよ。」
「あと1時間くらいで帰れますよ。」
など、できるだけ分かりやすく、一貫した伝え方を心がけると安心につながります。
②見て分かる工夫をする
言葉だけでは覚えにくい人もいます。
予定表や時計、ホワイトボードなどを使い、「帰宅時間」「昼食の時間」「作業の予定」を見える形にすると、自分で確認できるようになります。
③「安心したい気持ち」を受け止める
何度も質問されると、「またか…」と思ってしまうこともあります。
でも、その背景には「不安」があるのかもしれません。
「大丈夫ですよ。」
「ちゃんと予定どおりですよ。」
そんな一言が、利用者さんの安心につながることがあります。
④職員同士で情報を共有する
ある職員には質問しないのに、別の職員には何度も聞くこともあります。
「今日は少し不安が強そう」
「この言い方だと安心しやすい」
そんな情報をチームで共有しておくことで、支援に一貫性が生まれます。
支援で大切なのは「質問を止めること」ではない
支援の目的は、同じ質問をやめさせることではありません。
「どうすれば本人が安心して過ごせるか」を考えることが大切です。
質問の回数だけを見るのではなく、その人の気持ちや背景に目を向けることで、見えてくるものがあります。
まとめ
何度も同じ質問をされると、つい「また?」と思ってしまうことがあります。
しかし、その行動の裏には、記憶の苦手さや見通しの持ちにくさ、不安な気持ちなど、本人なりの理由が隠れています。
だからこそ、答えを繰り返すだけでなく、「安心できる環境」をつくることが障害福祉の支援ではとても重要です。
質問の回数ではなく、その人が何を伝えようとしているのかに目を向けること。
それが、一人ひとりに寄り添う支援への第一歩になるのではないでしょうか。

