老人介護と障害福祉、何が違うの?

老人介護と障害福祉、何が違うの?

「福祉の仕事をしています。」
そう話すと、「お年寄りのお世話をしているんですね」と言われることが少なくありません。
確かに、高齢者を支える老人介護も、障害のある方を支える障害福祉も、どちらも福祉の仕事です。
しかし、実際に働いてみると、その支援の考え方や目指すものには、大きな違いがあります。
もちろん、「どちらが大変」「どちらが優れている」という話ではありません。
それぞれが違う目的を持ち、それぞれに必要な支援を行っているのです。

今回は、その違いについて少しお話したいと思います。

老人介護は「これまでの生活を守る支援」
高齢者介護では、加齢や病気によって、これまで当たり前にできていたことが難しくなる方が多くいます。
歩くこと、食事をすること、着替えや入浴、買い物など…。
身体機能や認知機能の変化によって、一人では生活が難しくなることがあります。
そのため介護では、「安心して生活を続けられること」や「その人らしい生活をできるだけ維持すること」が大切な支援になります。
転倒を防ぐための環境づくりや、身体への負担を減らす介助など、安全面への配慮も重要な役割です。
「できなくなったことを支える」という考え方が中心になる場面が多いのです。

障害福祉は「その人の可能性を広げる支援」
一方、障害福祉では少し視点が変わります。
障害のある方の中には、生まれつき障害のある方もいれば、病気や事故によって障害を負った方もいます。
支援の目的は、「できないことを代わりにする」だけではありません。
「どうすればできるようになるか」「どんな方法なら自分らしく生活できるか」「どんな仕事なら力を発揮できるか」
そんなことを一緒に考えていく支援が求められます。
例えば、就労継続支援B型では、一人ひとり得意なことも苦手なことも違います。
細かい作業が得意な人。体を動かすことが好きな人。絵やものづくりが好きな人。人と話すことが得意な人。
支援員は、その人のできることや好きなことを見つけ、それを伸ばしていく役割も担っています。
だから障害福祉では、「できないこと」よりも「できること」に目を向ける場面が多いのです。

「正解」は一人ひとり違う
障害福祉の面白さでもあり、難しさでもあるのが、「この支援が正解」という答えがないことです。
同じ障害名でも、その人の性格や生活環境、得意なこと、苦手なことはまったく違います。
ある人には励ましが力になることもあれば、別の人にはプレッシャーになってしまうこともあります。
ある人は静かな環境で力を発揮し、ある人は周りと一緒に作業することで安心できます。
だからこそ、支援員は「障害を見る」のでは、「その人を見る」ことが大切になります。
目の前にいるのは、「障害者」という一つの存在ではなく、一人の人です。
この当たり前のようで難しいことが、障害福祉では何より大切なのだと感じます。

共通しているには「尊厳を守ること」
老人介護も障害福祉も、支援の方法は違います。
しかし、共通していることがあります。それは、「その人の尊厳を守る」ということです。
誰でも、自分で決めたいことがあります。
誰でも、「ありがとう」と言われると嬉しいものです。
誰でも、自分らしく生きたいと思っています。
年齢や障害の有無によって、その気持ちが変わることはありません。
だから福祉の仕事は、ただ生活を支えるだけではなく、その人の人生そのものを支える仕事なのだと思います。

福祉は「できない人を助ける仕事」ではない

福祉という言葉を聞くと、「困っている人を助ける仕事」というイメージを持つ方も多いでしょう。
もちろん、それも間違いではありません。
しかし実際には、「その人が自分らしく生きるための環境を一緒につくる仕事」でもあります。
障害があっても働きたい。高齢になっても住み慣れた地域で暮らしたい。趣味を続けたい。友達と笑って過ごしたい。
そんな一人ひとりの願いを支えることが、福祉の本当の役割ではないでしょうか。

最後に
老人介護と障害福祉。同じ福祉という言葉でまとめられることが多いですが、その支援を考え方は大きく異なります。
だからこそ、それぞれに専門性があり、それぞれに魅力があります。
そしてどちらにも共通しているのは、「相手を一人の人として尊重すること」。
支援とは、何かをしてあげることではなく、その人らしく生きられるように寄り添い、ともに考えることなのかもしれません。

このブログを読んで、福祉の仕事を少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいです。