利用者さん日記~大人の階段上る~

利用者さん日記~大人の階段上る~

利用者Kさんは誰に対しても人懐っこくて誰よりもムードメーカー、そしてとっても甘えん坊な方です。そんなKさんは利用者さんからも「Kさん、こっちおいで~!」「Kさんとおったらずっと笑ってるわ~!」と毎日ご指名が入る程大人気です。しかしそんな大人気なKさんにもちょっとした苦労があったのです。今回はそんなKさんのちょっぴり大人の階段を上ったエピソードをご紹介したいと思います。

冒頭にも説明したように、Kさんはとっても甘えん坊な方。容姿も愛くるしい事もあり、周りの利用者さん達も少しばかりのKさんのワガママなら「まぁええか。」とつい許してしまいがち。そんなKさんには職員の中で特に気に入った男性職員がいます。「カッコイイなぁ」「結婚して~」とジョークも挟みながら、いつもその男性職員の事を考えています。

ある日その男性職員が利用者Yさんと会話をしていました。そこにたまたま通りがかったKさんは嫉妬深く様子を伺っていました。男性職員とYさんはKさんの存在には気付かず話を続けていましたが、Kさんは「良いな~、私も男性職員さんと話しがした~い!」と心の中で叫んでいました。ついにKさんの気持ちは溢れてしまい、Kさんは会話をしていた二人の中に強引に入ってきました。

「〇〇さ~ん、私と喋って~!」と入ってきたKさん。しかしその時男性職員はYさんと大事な話をしていたので、「Kさん、Yさんとのお話が終わってからお話しよ!」と男性職員が声を掛けましたが、Kさんは納得がいかず、そのまま男性職員とYさんとの話を中断してしまいした。YさんはKさんの性格をよく理解してくれているので、「全然大丈夫だよ~!」と大人な対応を見せてくれました。

男性職員はそのままKさんに「後でYさんに謝っておこうね。」と伝えると、Kさんは「何で謝るの?」と。確かにKさんの立場で考えると、「私も男性職員さんに話を聞いてほしい!」「今すぐ伝えたい!」みたいな気持ちがあったのだと思います。しかし同じ思いでいるのはKさんだけではなく、他の利用者さん達も同じ。これは簡単に言うと完全な横入り状態。男性職員は「もしKさんが誰かと話している最中に別の人に横入りされたら嬉しいかな?」と問うと、「・・・嫌や。」と返ってきました。きっとKさんの中ではあまり想像した事がない事だったのだと思います。「その“嫌”という気持ちがあるなら、Kさんは成長出来るよ!」と男性職員が励ますと、「Yさんに謝りに行ってくる。」と自ら宣言してくれました。

「一緒に謝りに行こうか?」と伝えると、「ううん、自分で言ってくる。」と言い、そのままYさんの所へ。「Yさん、さっきは横入りしてごめんなさい。」とKさんが謝罪すると、Yさんは「全然大丈夫だよ!ちゃんと謝れて偉いね!私も見習わないと!」と優しい声を掛けてくれました。その様子を見た男性職員もなんだかほっこりした気分でありました。

そんな事があってから、Kさんは男性職員に限らず、誰かと話している時は「とりあえず待とう。」と心に問いかける姿勢が見受けられるようになりました。

今回はKさんを通じて、同じ環境下で時間や物は自分の物ではなく、「周りと共有する」という大切さをお伝えさせていただきました。Kさんもちょっぴり大人の階段を上れたようです。

今回はこの辺で、また更新しますね◎◎