利用者さん日記~ゆとりって?~

利用者さん日記~ゆとりって?~

どんな利用者さんにもそれぞれの特性や個性がありますが、Cさんはその中でも人一倍環境や日常の変化、又音や視覚に敏感な方です。それに伴い、日常を共にする中でCさんへの配慮は欠かせません。大きな音は極力出さない、いつでも落ち着ける空間(一人になれる空間)を設ける等、他にも様々な配慮が必要です。

当初Cさんが作業所に来られた頃は日常の中で目立った問題点もなく穏やかに過ごされていました。しかし日を重ねるごとにCさん自身の中で環境や日々の変化を感じ取り、暴言や物に当たってしまう行為が目立つようになりました。周りの利用者さん達が困惑していたのは勿論ですが、何よりCさん自身が辛いものだったと感じます。「こんな事はしてはいけない!」と何度も心に問いかけていたと思います。しかし突発的にそのような行動をしてしまう、すなわち感情のコントロールがなかなか上手く出来ずに日々悩んでいたものだと思います。

Cさんにとって必要な支援は何かと考えた時に”ゆとりある場所”が必要だと判断し、周りと少しだけ距離を取り、いつでも落ち着ける空間を設けました。初めは距離を取る事で疎外感や孤独感を感じる事が多くなるのではないかと懸念していました。しかしこの少しのゆとりある距離のおかげでCさん自身にも心のゆとりが出来たのだと感じます。荒々しい行動は自然と消え去り、気付けばCさんに笑顔も増えていきました。周りの利用者さん達もあえて距離を取る事でCさんの特徴や個性を客観的に捉え、優しい声掛けや適切な距離の取り方を学ぶ機会ともなりました。今となってはCさんが他の利用者さんを気に掛ける場面、反対に周りの利用者さん達もCさんに気に掛ける場面が多くなった程関係性は良好です。

誰しもが同じ心のゆとりの大きさではありません。大きい事が正しいわけでもなければ小さな事が間違いでもありません。必要なのはそれぞれのゆとりの形があり、又それを受け入れる事です。それこそが”ゆとり”なのだと感じます。