人を許す、という事

人を許す、という事

当法人は以前に比べ利用者さんも職員も増え、より一層賑やかな環境になってきました。
つまりそれはいろんな人達が集まって日々共同生活を送っているという事です。

利用者さん達の日々の思いとして

・みんなでワイワイと賑やかに生活がしたい。
・自分のペースで作業に取り組みたい。
・一人で静かな空間にいたい。
・全て自分の思い通りになってほしい。

と様々な意見がありますが、これらの意見を同時に全て答えていくというのは正直難しいところではあります。

以前作業所にて一つの問題が起きました。
その内容は利用者Aさんが利用者Bさんの事を毛嫌いし、何かとあればBさんに対し暴力を振るうというものでした。そしてその問題は今もなお度々起こっています。

Aさんは学生時代にいじめられた経験があるそうでそれが原因で学校も退学しそこから約10年間家に引きこもりだったそうです。そして現在は作業所に来れるまでになり少しでも自分自身を変えようと努力されています。
Bさんは利用者さんの中では高齢になりますが今も日々一生懸命作業に取り組まれています。当法人に入られてからかなりの年数で利用者さんの中でもベテラン組に入られます。

そんな二人の関係性ですが、まず年齢はAさんが20代、Bさんは60代とかなりの年齢差があります。そして普段二人が関わり合う事も少ないのが現状です。
ではなぜそんな二人の間にこのような問題が起きてしまったのでしょうか?

原因として考えられるのはAさんは手先が器用でどんな作業も丁寧に仕上げる事が出来ます。しかしそれを周りに押し付けてしまう癖があります。「どうして出来ないの?」「みんなのペースが遅すぎる。」、いわゆる完璧主義者なのかもしれません。反対にBさんは高齢という事もあり作業や日常生活においてかなりスローペースで生活を送られています。その上耳も聞こえにくいという事もあり会話をスムーズに出来ないという点もあります。そんなBさんを見たAさんは一緒に生活を送っていく中で沸々と苛立ちを覚え、ついには手を出してしまったという事です。

Aさんは普段からも不穏になる事が多く、何かと物や周りに当たってしまいます。それにより周りの利用者さん達もAさんとは一定の距離を取って関係性を築いているのが現状です。「Aさん怖いから近寄りたくない。」「暴力振るう人なんか嫌い。」、周りの利用者さん達がそう思うのも無理はありません。

職員もAさんとは何度も話し合いを重ねました。Aさんも自身の行動が正しいものではない事は認識されています。しかしAさんはBさんに対して謝罪をする事はありませんでした。それを見たBさんも「もうAさんに謝罪は求めない。その代わりこれからAさんと関わっていく事をやめる。」と断言されました。

Aさんは周りの人達が離れていく事を大変恐れています。それは過去に引きこもって孤独という恐怖を体験したからです。しかし自身が起こした行動によってこのような事態になってしまっている事も理解されています。そんな恐怖を二度と味わいたくないと思い、崩れかけている周りとの関係性の中、今も作業所に来られています。

もちろんこのような事態に職員も黙っている事はなく、Aさんだけではなく全員が日々お互いが良好な関係が築けるよう環境を整えたり楽しい企画を考えたりと現在支援をしているところであります。しかし人をどう受け入れるか、自身をどう相手に見せるかは本当に時間がかかる事であり、それを共有していく事は人として本当に難しい事であります。

当法人の基本理念は「愛情・信頼・奉仕」です。どんな問題が起きてもこれらの理念を除く事は出来ません。今世界で起きている様々な問題もまずは愛情を持って相手を信じ奉仕していく事が大事だと感じます。

共同生活は日々様々な問題が起きますが、今回”人を許す”という事を考える機会にもなりました。そしてこれからもこのテーマについてみんなで話し合っていく事が大事なんだと再確認しました。

今回は少し真面目な投稿になってしまいましたが、これからもこのようなテーマも含めた投稿もしていけたらなと思っています。

また更新しますね◎